トップページ雑誌案内(オンラインメドジャーナル)新刊一覧(年月別)近刊案内好評既刊書好評シリーズ書図書目録ヘルプ

医薬ジャーナル 2012年9月号(Vol.48 No.9)

P77(2163)~82(2168)

国民皆保険制度の現在と未来

3.社会保障としての国民皆保険制度~皆保険という不安定な政治均衡~

慶應義塾大学商学部・教授 権丈善一

                                                         
Summary

 「政策は,所詮,力が作るのであって正しさが作るのではない(権丈善一:再分配政策の政治経済学I――日本の社会保障と医療.2005〔初版2001〕,p.21)」。国民皆保険政策も例外ではなく,これを守ろうとする勢力がこれを攻めようとする勢力よりも優勢であったから,成立来50年間存続していた政策に過ぎない。そして今,皆保険政策下の公的医療という領域に市場のフロンティアを求める国内外の経済界の力は,次第に強まりを見せている。この時の攻めの道具として,医療には改革の青写真がなく,このままでは医療費は際限なく増えていくという論が使われることがある。しかしながら,実は2008年の社会保障国民会議以来,公的医療費を将来にも国力相応の範囲内に収めるための効率化策を含む医療制度の改革案は,かなり細部にわたるまでこの国には存在しており,今もそれは引き継がれている。他面,国民皆保険に価値を置く勢力は,医療経済学の泰斗フュックスが指摘したように「バラバラであり,いがみ合う」特性を持っているようで,このままでは,皆保険制度という,市場をあるべき場所に封じ込めるための「防壁」は,軽く突破される怖れがある。

※外字や機種依存文字は標準文字に変換して表示しております。

この文献の目次ページに移動 全文を見る

▲このページの上へ