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CLINICAL CALCIUM 2017年11月号(Vol.27 No.11)

p7(1515)


特 集  ビタミンD Update Preface


巻頭言~ビタミンD研究の新たな展開~

福本 誠二
Seiji Fukumoto

徳島大学先端酵素学研究所
藤井節郎記念医科学センター 特任教授


 ビタミンDは,特に産業革命以降のイギリスで問題となった,栄養性くる病を治癒させ得る分子として同定された。ビタミンD欠乏は,代謝性骨疾患の原因となることが明らかにされた訳である。一方,その後の検討により,ビタミンDは肝臓や腎臓での代謝により1,25-水酸化ビタミンD[1,25(OH)2D]に変換され,この1,25(OH)2Dは核内受容体スーパーファミリーの一員であるビタミンD受容体(vitamin D receptor:VDR)に結合することにより,ホルモンとしての作用を発揮することが明らかにされた。実際1,25(OH)2D産生を担う酵素をコードするCYP27B1遺伝子やVDR遺伝子変異により,低カルシウム血症や低リン血症を伴うビタミンD依存性くる病が惹起される。このことは,1,25(OH)2D作用が正常な骨・ミネラル代謝の維持に必須であることを示している。ただし,ビタミンD欠乏患者の血中1,25(OH)2D濃度は必ずしも低値ではない。このため,腎臓のみではなく各種組織で1,25(OH)2Dが産生され,この1,25(OH)2Dが局所因子として作用するという,新たな概念が提唱されている。
 一方,1,25(OH)2Dは,この骨・ミネラル代謝調節作用に加え,各種細胞の分化や増殖にも影響する。また,ビタミンD欠乏と自己免疫疾患や悪性腫瘍,糖尿病など,多くの疾患との関連が報告されている。従って,ビタミンD代謝物は,骨・ミネラル代謝調節以外の多様な作用を発揮し得るものと推定される。従来,1,25(OH)2Dの同定やCYP27B1のクローニング,VDRノックアウトマウスの作成,新規ビタミンD化合物の臨床応用などの重要な研究に,本邦研究者が主要な役割を果たしてきた。最近でも,VDRの新たな機能の発見や新規ビタミンD化合物の開発など,多くのビタミンDに関する研究が我が国から発表されている。また臨床的にも,2016年にビタミンDの充足状態を反映する25-水酸化ビタミンDの測定が保険収載された。また各学会から,ビタミンD欠乏性くる病・低カルシウム血症の診断の手引き,ビタミンD不足・欠乏の判定指針が公表されている。このように,基礎的にも臨床的にも,古典的ビタミン・ホルモンであるビタミンDに関する研究は,新たな時代に入りつつあるように思われる。そこで本特集では,ビタミンDに関する最新の知見を,第一線で御活躍中の先生方に概説いただくことを目的とした。本特集が,ビタミンDに関する知識の整理に役立ち,研究や診療面での何らかのヒントに繋がれば幸いである。





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