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医薬ジャーナル 2018年7月号(Vol.54 No.7)

p53(1595)~p60(1602)


MONTHLY PRESS




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企業活動


多発性硬化症の認知向上活動について
専門医と患者によるビデオメッセージ公開


バイオジェン・ジャパン


 バイオジェン・ジャパンは5月30日,「World MS Day」(世界多発性硬化症の日,毎年5月の最終水曜日)に合わせ,多発性硬化症(MS)の認知向上活動のため,同社が疾患啓発のために情報提供を行っているウェブサイト「MSサポートナビ」にて,ビデオメッセージを公開した。(https://www.ms-supportnavi.com/ja-jp/home/efforts/effort01.html)。
 公開されたビデオメッセージでは,医療法人セレスさっぽろ神経内科病院理事長・院長の深澤俊行氏が,「現在できるベストの治療法を伝えることが医療者としての使命」とMS専門医の立場から,早期診断・適切な治療の継続の重要性を伝えている。MS患者2名からは,「休憩を必要とする人に対して配慮ができていないのではないか。ヘルプマークなど,なんらかの形で配慮を促す必要性を伝えていきたい」,「疾患を抱えていても何かできることがあると信じて挑戦を続けている。挑戦する気持ちと周囲の援助が必要と思う」などのメッセージを発信。
 MSは深刻な慢性進行性神経疾患であり,認知機能,心理社会的機能と身体機能のすべてに影響を及ぼし,中枢神経系の炎症,ミエリン破壊,オリゴデンドロサイトの細胞死,軸索損傷とその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患。有病率は人種や地域間で差があり,日本での患者数は増加傾向にあり,罹患率は10万人当たり10.8~ 14.4人と報告されている。一見しただけでは病気であるということが分かりづらいため,周囲の理解が得られず,就労や日常生活で困難が強いられることもある。


関連会社の新社長に中手利臣 氏

アステラス製薬


 アステラス製薬は6月1日,6月29日付で,同社の関連会社であるアステラスファーマテックの新社長に,同社焼津技術センター長の中手利臣(なかて・としおみ)氏が就任すると発表した。
 アステラスファーマテックは,アステラス製薬の開発段階から商業用までの治験薬と医薬品の製造を担う。アステラスグループの主要製品のイクスタンジ,スーグラ,ゴナックス,ベシケア,ガスター,ベタニス,セレコックス,プログラフ,プロトピック,ファンガードや治験薬などを,国内のみならず世界市場に供給するとともに,新製品開発の一翼も担っている。


新規核酸合成とデリバリー技術を用いた
核酸創薬研究に関する産学官共同研究開発契約を締結


エーザイ


 エーザイは6月13日,同社の研究子会社であるカン研究所を代表とする研究プロジェクト「新規の核酸合成とデリバリー技術を用いた核酸創薬研究」について,カン研究所と6つの共同研究機関(大阪大学/国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所/ジーンデザイン/東京女子医科大学/新潟大学/国立がん研究センター東病院)との間で,産学官共同研究開発契約を締結したと発表した。同研究プロジェクトは,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されている。
 核酸医薬品は,遺伝情報をつかさどるデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)あるいは化学修飾された核酸を基本骨格とした,低分子医薬品と同様に化学合成で製造する医薬品。従来の医薬品では標的とすることが難しかった細胞内分子(遺伝子)に対して高い特異性をもって直接作用することが可能であり,多くの疾患領域での創薬が期待されている一方,毒性回避技術や核酸の標的細胞に対するデリバリー技術の確立が必要とされている。
 同研究プロジェクトでは,同社を中心に開発した革新的核酸デリバリー技術に,大阪大学が開発した人工核酸合成技術,医薬基盤・健康・栄養研究所のスクリーニング技術,ジーンデザインの保有する核酸製造技術を結集し,独自の核酸医薬創出プラットフォームの構築と,そのプラットフォームを用いた安全性と有効性に優れた難治性のがんなどに対する核酸医薬品候補の創出を目指す。同社とカン研究所,東京女子医科大学,新潟大学,国立がん研究センター東病院が協働して非臨床試験ならびに臨床試験を実施する。

田辺三菱製薬:「カナグリフロジン」が日化協の技術賞総合賞受賞=田辺三菱製薬は5月18日,“逆転の発想”が生んだ糖尿病治療薬「カナグリフロジン」の業績に対し,一般社団法人日本化学工業協会(日化協)より,第50回日化協技術賞総合賞を受賞したと発表した。日化協技術賞は,優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業や経済社会の発展に寄与した事業者を表彰する制度で,優れた業績に対して総合賞が授与される。
 同社は,尿細管で糖が再吸収されるメカニズムに着目し,この再吸収を阻害してあえて糖をより多く尿中に漏れ出させて尿糖値を高くし,血液中の過剰な糖を減らそうという“逆転の発想”に挑戦した。この結果,全く新しい治療概念を確立させたSGLT2(ナトリウム‐グルコース共輸送体2)阻害剤「カナグリフロジン」(国内製品名:カナグル)の製品化に成功。現在,80カ国以上で販売されている。
ヤクルト/ベラステム社:がん治療薬「デュベリシブ」開発・商業化に関する独占的ライセンス契約締結=ヤクルトとベラステム社(本社:米国)は6月5日,ファースト・イン・クラスの経口ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ(PI3K)-デルタおよびPI3K-ガンマ二重阻害剤である「デュベリシブ」について,国内での全てのがん適応症の治療,予防または診断に係る開発と商業化に関する独占的ライセンス契約を締結したと発表した。
 ベラステム社による「デュベリシブ」の新薬承認申請は,米国食品医薬品局(FDA)で現在審査中であり,ベラステム社は,再発または難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)の治療の承認,および再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)の治療の迅速承認を求めている。また,2018年4月9日に,ベラステム社は,FDAが新薬承認申請を受理し,優先審査に指定したことを発表している。
福岡工業大学:スマートフォンのみによる血圧測定システムを開発=福岡工業大学は6月13日,同大学情報工学部情報システム工学科の山越健弘准教授らが,スマートフォンのみを利用した血圧測定のシステムを開発したと発表した。従来の血圧計測は,上腕などにカフを巻きつけて圧迫しながら計測する方法が主流。また現在は,パルス・トランジット・タイム(PTT:心電図と容積脈波記録から血圧を推定する)という手法も注目されているが,機材が必要であることや手技の煩雑さから,簡便であるとは言い難い。今回開発されたシステムは,スマートフォンにアプリをダウンロードし,スマートフォンのカメラから出る光(LED)に指をかざして,指先の抹消血管から導出される脈拍数(≒心拍数)と抹消血管の収縮度の計測値を元に血圧を算定する。
塩野義製薬:新規抗うつ薬「SAGE-217」Sage社とライセンス契約締結=塩野義製薬は6月14日,Sage Therapeutics, Inc.(本社:米国)との間で,新規抗うつ薬「SAGE-217」の日本,台湾,韓国での開発と販売に関する契約を締結したと発表した。同製剤は,既存の抗うつ薬とは異なる新規の作用機序を有する1日1回投与の経口剤であり,シナプスおよびシナプス外のGABAA受容体に対する選択的ポジティブアロステリックモジュレーター。抑制系神経細胞に直接作用すると考えられており,効果発現が早いことが期待されている。現在,大うつ病性障害,産後うつ病,睡眠障害,その他の気分障害と運動障害の適応でSage社が開発を進めている。同製剤は,大うつ病性障害の適応症では2018年2月に米国食品医薬品局(FDA)よりブレイクスルー・セラピー(画期的治療薬)に指定されており,既に第II相臨床試験は完了している。FDAとの合意の下,今年米国で第III相臨床試験が開始される予定。



新製品


ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤
『トレムフィア皮下注100mgシリンジ』

ヤンセンファーマ


 ヤンセンファーマは5月22日,ヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-23p19モノクローナル抗体製剤『トレムフィア皮下注100mgシリンジ』(一般名:グセルクマブ[遺伝子組換え])を発売した。適応症は既存治療で効果不十分な尋常性乾癬,関節症性乾癬,膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症。
 同製剤は,日本初の,IL-23のサブユニットタンパク質であるp19を特異的に阻害するモノクローナル抗体。乾癬は正常の約30倍にも及ぶ表皮細胞の異常増殖が特徴で,その病態にはヘルパーT細胞17(Th17)が大きく関与していると考えられている。IL-23は,Th17の分化,増殖とその維持に関与するサイトカインであり,同製剤は,IL-23のp19サブユニットに結合することによってIL-23の活性を特異的に阻害し,IL-23の下流にあるTh17へのシグナル伝達を抑制する。
 同社と大鵬薬品工業が2017年12月に締結した国内でのコ・プロモーション契約に基づき,同社は製造販売元として大鵬薬品工業へ同製剤を供給し,大鵬薬品工業はその販売権を保有する。また,医療従事者への情報提供活動は,両社が共同で実施する。
<薬価>トレムフィア皮下注100mgシリンジ= 319,130.00円/100mg1mL1筒


2型糖尿病治療剤
『スージャヌ配合錠』

MSD/アステラス製薬


 MSDとアステラス製薬は5月22日,両社で共同開発を行ったDPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害剤シタグリプチンリン酸塩水和物(製品名:ジャヌビア錠)とSGLT(sodium glucose transporter)2阻害剤イプラグリフロジンL-プロリン(製品名:スーグラ錠)の配合剤である2型糖尿病治療剤『スージャヌ配合錠』を発売した。
 同配合錠は,MSDが製造販売する日本初の選択的DPP-4阻害剤「ジャヌビア錠」とアステラス製薬が製造販売する日本初の選択的SGLT2阻害剤「スーグラ錠」の有効成分を配合した1日1回1錠の経口剤。同配合錠は,選択的にDPP-4を阻害し,活性型インクレチンを増加させることによる血糖依存的な血糖低下作用と,選択的にSGLT2を阻害し,腎臓でのブドウ糖再取り込みを抑制することによるインスリン非依存的な血糖低下作用を示す異なる二つの作用機序を有し,服薬アドヒアランスの向上と長期にわたる安定した血糖コントロールの維持・改善に寄与することが期待される。
 同配合錠の製造販売元はMSD,発売元はアステラス製薬となり,医療機関への情報提供活動については,MSD,アステラス製薬,寿製薬(アステラス製薬と販売提携)が共同して行う。
<薬価>スージャヌ配合錠= 263.80円/1錠


カルシウム受容体作動薬
『オルケディア錠1mg,同2mg』

協和発酵キリン


 協和発酵キリンは5月22日,カルシウム受容体作動薬『オルケディア錠1mg,同2mg』(一般名:エボカルセト)を発売した。適応症は,維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症。同製剤は,次世代型のカルシウム受容体作動薬として開発された経口薬。既存薬であるレグパラ錠(一般名:シナカルセト塩酸塩)と同様,副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体に作用することにより副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を抑制する。
 これまでに実施された第III相臨床試験では,レグパラ錠と比較して同等の有効性を有し,上部消化管に関する副作用の発現頻度が減少することが認められた。また,薬物相互作用試験の結果から他の薬剤との併用に対するリスクが軽減されていることも確認された。
<薬価>オルケディア錠1mg= 280.70円/1錠,同2mg= 412.10円/1錠


ファブリー病経口治療剤
『ガラフォルドカプセル123mg』

アミカス・セラピューティクス


 アミカス・セラピューティクスは5月30日,ファブリー病経口治療剤『ガラフォルドカプセル123mg』(一般名:ミガーラスタット塩酸塩)を発売した。
 ファブリー病は,先天的な遺伝子の異常によりα-ガラクトシダーゼ(α-Gal)という酵素の働きが十分でないために,グロボトリアオシルセラミド(GL-3)などの物質が体内に蓄積し,さまざまな症状が起こる疾患。
 国内では,これまでファブリー病の治療剤として点滴静注用製剤が発売されているが,経口投与による治療剤は初めてとなる。同製剤に反応性のある遺伝子変異を伴うファブリー病患者が対象となる。患者にとって新しい治療の選択肢となるとともに,その利便性などにより,患者のQOL(生活の質)の更なる向上が期待できる。
 海外では,欧州で2016年5月に承認され,その後,オーストラリア,カナダ,イスラエル,韓国,スイスで承認されている。2018年2月までに約360人のファブリー病患者が同製剤による治療を受けている。
<薬価>ガラフォルドカプセル123mg= 142,662.10円/1カプセル


経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤
『イクスタンジ 錠40mg,同80mg』

アステラス製薬


 アステラス製薬は6月11日,経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤「イクスタンジカプセル40mg」(一般名:エンザルタミド)の剤形追加として,『イクスタンジ錠40mg,同80mg』を発売した。効能・効果は去勢抵抗性前立腺癌。
 「イクスタンジ錠」は,40mg錠,80mg錠ともに,「イクスタンジカプセル40mg」と比較してサイズが小さく,患者の服用時の負担を軽減することが期待される。また,80mg錠の場合は,1回当たりの服薬数を低減することも可能。
 エンザルタミドは,2018年5月現在,70カ国以上で発売されている。日本では,去勢抵抗性前立腺癌の効能・効果で2014年5月に「イクスタンジカプセル40mg」を発売した。
<薬価>イクスタンジ錠40mg= 2,354.10円/1錠,同80mg= 4,563.70円/1錠


ヒト型抗ヒトTNF αモノクローナル抗体
『ヒュミラ皮下注40mgペン0.4mL,同80mgペン0.8mL』

アッヴィ合同会社/エーザイ/EAファーマ


 アッヴィ合同会社とエーザイおよびその消化器事業子会社であるEAファーマは6月11日,ヒト型抗ヒトTNF α(腫瘍壊死因子α)モノクローナル抗体「ヒュミラ」(一般名:アダリムマブ[遺伝子組換え])のオート・インジェクター製剤『ヒュミラ皮下注40mgペン0.4mL,同80mgペン0.8mL』を発売した。
 同製剤は,自己注射時の患者による操作の手間と負担の軽減を目的に開発された。握力が弱い患者の手にもフィットしやすいように膨らみをもたせたペン型ボディーで,投与前に針が出ないようにするロック機能を備えるとともに,針先を見ることなく投与できる設計となっている。
 また,注射部位に押し当てて作動ボタンを押すだけで,約10秒で全薬液が自動的に注入されるオート・インジェクト・システムに加えて,注射の開始と終了を音で知らせる機能と確認窓を搭載。なお,同製剤は,既存のプレフィルドシリンジ製剤と同じ薬液が充填されている。
 ヒュミラは,世界初のヒト型抗ヒトTNF αモノクローナル抗体製剤であり,関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患の炎症反応に関わる中心的なタンパク質であるTNF αを中和することで作用を発揮し,既に100カ国以上で100万人の患者に使用されている。
<薬価>ヒュミラ皮下注40mgペン0.4mL= 62,596.00円/1キット,同80mgペン0.8mL= 121,448.00円/1キット


パーキンソン病治療剤
『アジレクト錠1mg,同0.5mg』

武田薬品工業


 武田薬品工業は6月11日,パーキンソン病治療剤『アジレクト錠1mg,同0.5mg』(一般名:ラサギリンメシル酸塩)を発売した。
 同製剤は,Teva Pharmaceutical Industries Ltd. (本社:イスラエル)が開発し,日本では,2014年3月に同社との開発・販売に関する契約が締結された。国内の早期・進行期のパーキンソン病患者を対象とした臨床試験で得られた有効性,安全性のデータに基づき,2018年3月23日に製造販売承認を取得した。
 同製剤の情報活動は,ジェネラルメディスンビジネスユニット(GMBU)のMRが担当し,新設したニューロサイエンスエリアプロモーター(NSAP)と連携しながら,専門医からかかりつけ医まで幅広く,かつ的確に展開していく。
<薬価>アジレクト錠1mg= 948.50円/1錠,同0.5mg= 512.10円/1錠


α2作動性鎮静剤
『プレセデックス静注液200μg/50mL シリンジ「ファイザー」』

ファイザー


 ファイザーは6月14日,α2作動性鎮静剤,プレセデックス静注液200μg「ファイザー」(一般名:デクスメデトミジン塩酸塩)のプレフィルドシリンジ製剤,『プレセデックス静注液200μg/50mLシリンジ「ファイザー」』を発売した。
 同製剤は,国内では2004年にバイアル製剤がα2作動性鎮静剤として初めて承認され,海外でも世界45カ国以上で承認されている。
 プレフィルドシリンジ製剤は,バイアル製剤と同じく「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」と「局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静」の適応を有しており,現在「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」での小児に対する用法・用量追加の一部変更承認申請を行っている。
 プレフィルドシリンジ製剤は希釈調製が不要なため,迅速に投与することが可能であり,誤投与や異物混入等のリスクを低減することが期待できる。特に同製剤が使用されている集中治療,救急医療現場などでは,全身状態の急激な変化に応じた迅速な対応が求められ,かつ調製過誤等の医療ミスが重大な問題に発展するリスクが存在することから,医療現場ならびに関連学会から要望が寄せられていた。
 プレセデックスの国内での製造・販売は,同社と丸石製薬が行う。
<薬価>プレセデックス静注液200μg/50mLシリンジ「ファイザー」= 5,212.00円/1筒



海外申請情報


[田辺三菱製薬:エダラボン]
 田辺三菱製薬は5月28日,同社の欧州での開発子会社であるミツビシタナベファーマヨーロッパ(Mitsubishi Tanabe Pharma Europe Ltd.)が,エダラボン(一般名)(日本製品名:ラジカット点滴静注バッグ30mg)について,欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)に申請を行ったと発表した。適応症は,筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)での機能障害の進行の抑制。
 ALSは,運動神経が選択的に変性・消失し,四肢,顔,呼吸筋等の全身の筋力低下と筋萎縮が進行性に起こる原因不明の神経変性疾患。人種や民族的背景に関連なく,10万人に2人程度で発病すると言われており,欧州のALS患者数は,29,000人と推定される。
 同製剤は,ALSの病態で上昇するフリーラジカルを消去して無害化すると考えられている。
 同社は日本で臨床試験を実施し,2015年6月に「ALSにおける機能障害の進行抑制」を効能・効果として日本で承認され,同年12月に韓国,2017年5月に米国で承認を取得している。
[バイエル:Larotrectinib]
 ドイツ・バイエル社は5月29日,共同提携先のバイオ医薬品企業である米国のロクソ・オンコロジー社が,Larotrectinibについて,米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請を行ったと発表した。神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)遺伝子融合を有する,局所進行性または転移性の固形癌患者(成人および小児)の治療薬として,同製剤を優先審査品目に指定。処方薬ユーザー・フィー法(Prescription Drug User Fee Act, PDUFA)に基づき,FDAは審査終了目標を2018年11月26日とした。
 NTRK遺伝子融合とは,トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)融合タンパク質の産生が制御できなくなる遺伝子変異のことであり,腫瘍増殖をもたらす。両社は現在,同製剤を共同開発しており,NTRK遺伝子融合を有するさまざまな癌患者を対象とした治療薬として,世界各国で臨床試験を実施している。バイエルでは,2018年中にEU(欧州連合)諸国で製造販売承認の申請を行う予定。
 FDAは,申請された品目が重篤な疾患の治療でも安全性,有効性,診断,または予防に著しい改善が見られると期待される場合に優先審査と指定する。同製剤は,ブレイクスルー・セラピーにも指定されている。
[エーザイ:Fycompa
 エーザイは5月31日,抗てんかん剤「Fycompa 」(一般名:ペランパネル,日本製品名:フィコンパ錠)について,小児てんかんの部分発作と強直間代発作に係る適応追加申請を,米国食品医薬品局(FDA)に行ったと発表した。
 同申請は,臨床第III相試験(311試験)の中間解析結果と臨床第II相試験(232試験)の結果に基づいており,両試験では小児患者に対しても,同製剤併用療法での安全性と有効性が12歳以上の患者と同様に得られることが示唆された。米国で既に承認されている12歳以上のてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤療法と併用療法の適応の対象を,2歳以上の小児患者まで拡大することを目指すもの。さらに,これまでに取得したデータから,2歳以上の小児患者の強直間代発作に対する併用療法に係る適応拡大の可能性についても追求する。
 同製剤については,部分発作または強直間代発作を有する小児てんかん患者を対象としたグローバル臨床第III相試験(311試験),レノックス・ガストー症候群に伴うてんかん発作を有する患者を対象としたグローバル臨床第III相試験(338試験)を実施している。また,日本では,部分発作を有する12歳以上の未治療のてんかん患者を対象とした単剤療法の臨床第III相試験(342試験)を実施している。
[大日本住友製薬:APL-130277]
 大日本住友製薬は6月13日,同社の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インクが,アポモルヒネ塩酸塩(ドパミン作動薬)を有効成分として含有する舌下投与フィルム製剤(開発コード:APL-130277)について,米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請を行ったと発表した。対象は,成人のパーキンソン病に伴う運動症状の日内変動(オフ症状)。
 同製剤は,パーキンソン病の朝のオフ症状,予測できないオフ症状,ウェアリングオフ現象を含むすべてのオフ症状を必要に応じて管理する,即効性のある舌下投与のフィルム製剤として開発されている。オフ症状は,日常活動の維持の大きな妨げとなり,日常生活に深刻な支障をもたらす。パーキンソン病患者の40~ 60%がオフ症状を経験しているにも関わらず,オフ症状を必要に応じて管理できる治療選択肢は限られている。



海外承認情報


[アストラゼネカ:タグリッソ
 アストラゼネカは6月8日,「タグリッソ」(一般名:オシメルチニブ)の単剤療法について,欧州委員会より販売承認を取得したと発表した。対象は,上皮成長因子受容体(EGFR)の活性化変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対する1次治療。この承認は,New England Journal of Medicineに掲載された第III相FLAURA試験の結果に基づく。
 同製剤は,第3世代不可逆的EGFR阻害剤であり,EGFR感受性変異とEGFR T790M 耐性変異の両方を阻害するように設計されており,中枢神経系(CNS)転移に対する臨床活性も有している。タグリッソ 40mg錠と80mg錠1日1回経口投与は,米国とEU(欧州連合)を含む4地域で,EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療として承認されており,EGFRT790M 変異陽性進行NSCLCの治療薬として米国,EU,日本,中国を含む75カ国以上で承認されている。また,同製剤は術後補助療法と他の治療薬との併用療法でも,現在承認に向けて開発中。



国内申請情報


[グラクソ・スミスクライン:ヌーカラ皮下注用100mg]
 グラクソ・スミスクライン(GSK)は5月25日,「ヌーカラ皮下注用100mg」について,成人に対し,「既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」の効能・効果で,適応追加の承認を取得したと発表した。
 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者に対しては,ステロイド療法が基本治療とされているものの,投与量と投与期間について一定の基準はなく,また,EGPAに対する既存治療では,治療期間が長期になるほど副作用や合併症を伴うことがあるほか,依然として再燃のリスクもある。
 第III相試験で,経口ステロイド薬による治療を行っても再燃の既往のある,または寛解に至らない難治性のEGPA患者に対して,同製剤を上乗せ投与した結果,寛解維持期間延長,再燃リスク軽減,経口ステロイド薬用量の減量といった有効性が認められた。
[ファイザー:ダコミチニブ]
 ファイザーは5月28日,不可逆性的汎ヒトEGFR(上皮性細胞増殖因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)ダコミチニブについて,「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺癌(NSCLC)」の効能・効果で,製造販売承認の申請を行ったと発表した。
 今回の申請は,未治療のEGFR活性化変異を有する局所進行性または転移性NSCLCの患者を対象とした,ダコミチニブとゲフィチニブを直接比較した国際共同第III相ARCHER1050試験の結果に基づく。日本も参加した同試験では,ダコミチニブはゲフィチニブと比較して,高い有効性と忍容性が確認された。盲検下での独立中央判定(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)の中央値は,ダコミチニブ群14.7カ月,ゲフィチニブ群9.2カ月で,ダコミチニブ群はゲフィチニブ群と比べ,優れた改善を示した。
 ダコミチニブは,4月に米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)に,EGFR活性化変異を有する局所進行性または転移性NSCLCの治療薬としての承認申請が受理されており,米国ではダコミチニブは,優先審査品目に指定されている。



学会・団体


アカデミアと製薬企業による
協調的・競争的な「免疫炎症性難病創薬コンソーシアム」の発足

慶應義塾大学/高知大学
医薬基盤・健康・栄養研究所
田辺三菱製薬/小野薬品工業/第一三共



 慶應義塾大学,高知大学,国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の3アカデミアと,田辺三菱製薬,小野薬品工業,第一三共の3製薬企業は5月30日,「免疫炎症性難病創薬コンソーシアム」を発足したと発表した。
 近年,免疫炎症性難病の改善・完治を目指して,世界的に,臨床検体を最新技術で解析したデータが創薬研究に活用されている。しかし,各種免疫炎症性難病の臨床検体数の収集の限界や研究費用の更なる増加により,今後は,従来のようなアカデミアと企業との一対一の共同研究だけでは効率的な新薬開発が難しくなると考えられる。
 こうした課題を克服するため,慶應義塾大学病院リウマチ・膠原病内科,消化器内科と高知大学医学部附属病院免疫難病センターが,複数の免疫炎症性難病患者を対象とした治療前後の臨床検体と疾患情報を収集する。また,国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所がこれらの臨床検体について遺伝子発現解析を含めた詳細かつ網羅的な解析を行う。
 同コンソーシアム内に蓄積された各種データをもとに構築される質の高いデータベースは,参画するアカデミアと製薬企業間で共有される。製薬企業各社は,このデータベースを活用し,免疫炎症性難病治療薬の創製を目指して独自の創薬研究に取り組む一方,各アカデミアは,研究成果を更なる基礎・応用研究に役立てるという,これまでにないユニークな産学連携コンセプトの下に運営される。


プレスセミナー開催
―専門心理士制度導入や高齢者運転免許証の自主返納などを紹介

日本老年精神医学会



 公益社団法人日本老年精神医学会は5月30日,プレスセミナーを東京都内にて開催し,学会の過去10年の歩みや2018年4月より導入された専門心理士制度等について紹介した。
 専門心理士制度は,老年精神医学や老年心理学などの高齢者領域を対象とした専門知識と技能を備えた専門家を養成するために開始され,第1回の本年は9名の専門心理士,26名の上級専門心理士が認定された。認定期間は5年間。
 わが国では,認知症患者と,認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の高齢者を合わせると1,000万人に到達すると見込まれる。その中で,専門医は2,000人あまりにとどまっており,専門医とかかりつけ医との連携だけでなく,PT(理学療法士),OT(作業療法士),ST(言語聴覚士)など多職種との連携強化が求められている。今後さらに認知症患者,家族のケアに社会のニーズが高まるとされており,専門心理士の担う役割が期待される。
 また,高齢運転者による交通事故が多発していることに鑑み,運転免許証の自主返納について紹介。同学会では,「改正道路交通法施行に関する提言」として,道路交通インフラの安全対策,高齢運転者を支援するハードウェアの開発促進,運転免許証の取り消し・自主返納に対応する「生活の質」の保証への早急な対策を,喫緊の課題として国に求めている。


共同研究始動
認知症患者と家族介護者に対するより良いケアの確立に向けて
―コメディカルスタッフの役割―

イースト・アングリア大学/大阪大学



 イースト・アングリア大学 健康科学科と大阪大学大学院 医学系研究科は6月5日,認知症患者とその家族介護者への支援に関する共同研究について,概要と今後の展望を発表した。
 大阪大学では老年精神医学が専門の池田 学教授を中心に,都市型認知症ケアモデルの構築に取り組み,多職種によるチーム医療を推進してきた。一方,イースト・アングリア大学のエニーダ・身吉教授は,認知症患者の脳の変化や生活機能レベル,家族の関わり方などの相互作用が患者の日常生活に与える影響について長年研究しており,同分野の第一人者である。また,イースト・アングリア大学で専任講師を務める臨床心理士の木下奈緒子氏は,日本が後れをとっている認知行動療法を取り入れた家族介護者への心理療法を専門としている。
 池田教授と身吉教授はともに,若年性認知症や前頭側頭型認知症,意味性認知症などの一般的にケアが難しいとされサポートも十分とは言えない認知症に関心があり,認知症を引き起こす原疾患によって日常生活動作(ADL)に及ぼす影響が異なることを明らかにしてきた。アルツハイマー型認知症は認知機能の低下とADLの低下がほぼ見合っているとされるが,前頭側頭型認知症では,認知機能がある程度保たれていても自立した生活が困難になるケースが多い。こうした変化の発現の違いは,傷害を受ける脳の領域の違いによる。従って,脳の病理を正確にアセスメントできれば,今後どのような生活機能障害が現れるかを予測しやすくなり,それによって,いつどのような介入が適切かといった判断に役立つと考えられる。認知症の薬物療法が確立されていない現時点では,患者の日常生活の自立性に影響する要因として,自宅の環境や介護者のスキルなどが重要であり,こうした変容可能な要因への介入,すなわち認知症患者の生活支援を科学的に行うために,両大学の知見を集積して共同研究を推進するに至った。
 認知症患者のケアにおいては,家族介護者の心理・社会的負担にも目を向ける必要がある。さらに,家族介護者の多くは高齢者であることから,身体的疾患にも注目しながら早期介入することが重要だ。木下氏らが実施したメタ分析では,半数近くの家族介護者が高い介護負担感を抱いており,3割程度が抑うつ症状や不安症状を経験しているとの結果。また,そうした家族の介護負担感に対しては,疾患知識や症状への対処法などの情報提供を目的とした心理教育的介入が有効であり,不安や抑うつに対しては認知行動療法が効果的である可能性が示唆された。
 今後は両大学の研究成果を元に先進的なチーム医療あるいは臨床研究へとつなげ,更なるエビデンスを蓄積することで,作業療法士や臨床心理士などの科学的な介入に対する保険適用を目指す。

【医療関連ホームページ】
●AMR臨床リファレンスセター:AMR対策の教育啓発ツールを公開=国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター(厚生労働省委託事業)は6月より,小学校高学年以上を対象とした教育啓発ツールを,同センターの「情報サイト」(http://amr.ncgm.go.jp/materials/)と新設「AMRラーニング」サイト(https://amrlearning.ncgm.go.jp/)(登録制)で公開している。
 同センターは2017年度,薬剤耐性(AMR)対策の啓発活動の一環として,東京都内の小学校で出張授業を行った。児童らは,感染症や薬剤耐性抗菌薬についての話や,感染対策の実習などを通じて,ウイルスを原因とする風邪に抗菌薬が効かないことや,抗菌薬を適切に使うことの大切さなどを学んだ。
 同センターでは,各地でこのような授業を展開できるよう,教員や学校医,学校薬剤師が授業で使用できるスライドやまとめに使える動画,持ち帰って家族にも見ることができるリーフレットをセットにしたものを作成。これらのツールは,学校のみならず,地域の医療機関や保健所などでも,一般向けのAMR対策の啓発活動に使用することが可能。
 教育啓発ツールは,同センターが運営している情報サイトと,新設「AMRラーニング」サイト(薬剤耐性について学べるeラーニング)で,公開している。情報サイトでは各ツールの概要を閲覧でき,新設「AMRラーニング」サイトでは,各ツールをダウンロードできるだけではなく,授業展開例や正しい手洗いの仕方が学べる動画も提供している。







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