トップページ雑誌案内(オンラインメドジャーナル)新刊一覧(年月別)近刊案内好評既刊書好評シリーズ書図書目録ヘルプ

アレルギー・免疫 2005年8月号(Vol.12 No.8)

p9(1131)~p9(1131)


特集 DSCG~臨床における意義とその将来展望~


序 文

Miyamoto Terumasa
・宮本 昭正

東京大学名誉教授/国立病院機構相模原病院名誉院長/日本アレルギー研究所所長


 Disodium cromoglycate(DSCG,インタール®)はエジプト産のセリ科の植物アンミビスナガの種子より抽出されたケリン誘導体である。エジプトで民間療法として燻した煙を吸入し喘息の治療に使っているのにヒントを得て,その種子から有効成分を単離開発されたのがDSCGであると仄聞している。DSCGは自分も喘息であったRoger Altounyan(1922~1987)が自らを実験台にしてこれを吸入し,喘息に有効であることを立証したとされている。DSCGの基礎研究を行ったCoxが自ら来日してこのものを説明し,それに基づいて我が国での臨床開発が始まったわけであるが,粉末の吸入であること,さらに臨床的な手応えから果たして我が国でものになるのかかなり半信半疑であった。ところが,喘息患者を対象にした吸入誘発試験の抑制効果をみたところ,ほとんど総ての患者で抑制がみられた。この結果をみてDSCGを再確認して治験を進めると,次第に手応えが明らかになった。その後,DSCGは小児科では高く評価されエポックメーキングな抗喘息薬であり,これで小児喘息の治療はほぼ完成に近づいたと公言された著明な小児科医もあった程である。成人喘息においてもその有用性は高く評価された。その後,アレルギー性鼻炎に対しては点鼻薬,アレルギー性結膜炎に対しては点眼薬,また食物アレルギーに対しては経口薬として剤形を変え,対象疾患の幅を広げてきた。DSCGが我が国で承認され,既に30有余年を経過し,しかもその有効性は従来の認識と変わらず,我が国では広く用いられているわけで,息の長い薬剤であるという事が出来る。しかも最近,重症喘息に対してβ-刺激薬とDSCGの吸入併用療法がかなり効果があるということが確かめられている。
 また思を転ずると,抗アレルギー薬という名前が用いられる様になった切っ掛けを作ったのがDSCGであり,DSCGと同じ様な薬理作用を持った経口剤としてtranilast(リザベン®)が開発され,引き続き抗アレルギー薬という名の下に数多くの抗喘息薬が開発されてきた。そう考えると,抗喘息薬の歴史の中でDSCGの果たした役割は大変大きいと考える。DSCGの開発に対してエリザベス女王が賞を贈ったという話を耳にしたが,むべなるかなと思う。DSCGは古くて新しい薬剤である。作用機序も100%解明されているわけではない。今後とも本薬が多くの愛好者を得,また研究されることを希望している。

DSCG臨床における意義とその将来展望





▲このページの上へ